うつ病は食事療法で治せるのか

更新日時:2017-03-07 01:06:09

薬に頼らないうつ病治療の道へと、一歩研究が進んだみたいですね。

健康的な食生活、うつ病に効果も

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うつ病の治療に関する新たな研究で、興味深い結果が示された。健康的な食事がうつ病患者の助けになる可能性があるというのだ。 この研究は、栄養精神医学という新しい分野に属す。食事を変えることで、うつ病などの「気分障害」の治療を...

うつ病は心の風邪とはいいますが、風邪もきちんとバランスよく栄養を取らなければ治りませんし、治ってもまたすぐ風邪をひく弱い体になってしまいます。うつ病も、身体の風邪と同じように十分な栄養を取る必要があるのかもしれません。とはいっても、うつ病は誰にでもなりえる可能性があるものですが、風邪のようには簡単に直りません。ニュースでも指摘されていますが、多くのうつ病患者の方は『自力で食事管理をする』という行為が非常に難しいのです。家族や周囲のサポートが得られる状態ともかぎりません。その点も含めて、今後うつ病の食事療法の研究がどのような展開を迎えていくのか、とても興味深いニュースですね。ただでさえ、偏った食事ばかりとる環境というのは精神衛生にはよくないものです。栄養バランスに富んだ食事というのは、うつ病の治療効果についてはまだ決定的な根拠を得ていないにしても、うつ病の予防策としてはおおいに期待ができそうです。

うつ病の食事療法を実現するには

うつ病にはまだ確かな食事療法の手段は確立していませんが、実際に食事によってうつの治療に良い影響を与える食材などはわかっています。よくうつ病の原因は「セロトニンが不足している」とされますが、口から食べ物に含まれたセロトニンを摂取しても、脳内物質として作用するわけではありません。大切なのは、うつ病によって足りなくなった脳内物質を、体内で生産できるように整えなければなりません。特に必須アミノ酸のトリプトファンは、セロトニンの材料になるものでとても重要です。マグロの赤身、豚や鳥のレバー、卵やチーズ、豆腐などが、トリプトファンの豊富な食材です。もちろん、トリプトファンだけが重要なわけではありませんので、しっかりとバランスを考える必要があります。

うつ病の食事療法で押さえておくべき栄養素

うつ病を改善するには、自律神経を整える栄養素をきちんと摂取しなければなりません。先ほど紹介した必必須アミノ酸のトリプトファン以外にも、様々なビタミン、ミネラルが必要となります。また、低血糖になると心身の不調を訴えやすくなりますので要注意。低血糖というと糖分が必要なように思えますが、実際には甘いものはNG。血糖値の急激なアップダウンが引き金となりますので、なるべく砂糖をたっぷりつかった菓子などはとらないようにしましょう。

うつ病に効果的なビタミンは、ビタミンA、ビタミンB群(B1、B2、B6、B12、葉酸)です。ビタミンといえば野菜……ですが、このビタミンAとビタミンB群は、豊富に含まれている食材がレバーや豚肉になります。もちろん、野菜にも含まれていますが、タンパク質不足もうつ病を悪化させる要因になりますので、バランスよく取り入れましょう。主食は白米よりも、玄米や雑穀米を選ぶとビタミンB群を豊富に摂取できます。

ミネラルで必要になってくるのは、鉄分・亜鉛・カルシウムです。カルシウムがイライラを抑える効果があることは有名でしょう。鉄分は神経伝達物質の反応に関する成分ですので、欠乏すると心身の不調につながりやすくなります。女性に不足しやすくめまい、疲労感などの原因にもなりますので、鉄不足には注意したいところです。また。鉄分ほど気にかける方が少ないのですが、亜鉛不足もうつの引き金となります。こちらは男性に不足する方が多いそうです。亜鉛が不足すると血糖値の調整が上手くいかなくなり、低血糖症を起こすリスクが高まります。

うつ病食事療法としての地中海型食事

ニュースでも取りあげられていた「地中海型食事」は、具体的にどんなメニューなのでしょうか?地中海と言えばイタリアを想像される方が多いかと思います。イタリア料理は野菜や魚介が中心で、肉や乳製品に偏っていないのが特徴です。そのため、欧米では健康食とされています。

地中海型食事は魚介類・野菜に加え、果物、豆類、ナッツなどの木の実とオリーブオイル、少量の穀物で成っています。脂っこい加工肉や乳製品などはほとんどありません。そのため、心臓病や認知症の予防に良いとされてきました。この食事がうつ病にも効果が期待できるというわけです。確かに、うつ病の回復のために必須となる栄養素が、バランスよく含まれる食品が多いですね。食事療法には最適と言えます。

実は、この地中海型食事ですが、日本の伝統和食に通じるものがあります。魚が中心のメイン食材に、野菜の副菜、納豆や豆腐などの豆製品の小鉢、脂分もほとんど使いませんよね。実際、和食も欧米では健康食として扱われています。現代社会に生きていると、なかなか純和食だけで生活する機会はなく、手軽さで欧米風の食事をしがちになります。ここは日本人の心に立ち返って和食を生活に多めに取り入れたり、洋食がどうしてもやめられない方は地中海型の食事を取り入れましょう。うつ病の方の食事療法としてはもちろんですが、予防の観点から考えても有効です。

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