がんの食事療法は根拠が足りない?

更新日時:2017-03-09 02:47:56

がんに効く食事療法に関する書籍は、本屋に行くとたくさん見つかりますが、信じて購入する前に科学的根拠について冷静に考える必要がありそうです。

がんに効く?食事療法の嘘(上)生活習慣を見直す…その効果は?

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多くの方は、これまでの自分の生活習慣を反省し、野菜中心にしたり、玄米食にしたり、ストレスがかからないように注意したりと、色々なことをしたりするかもしれません。 では、医学的に食事ががんに与える効果は実際どうなのでしょうか? ...

医療技術が進んで決して不治の病ではなくなった今も、がんは現代日本人の死因の中でも大きなパーセンテージを占めています。また、がんは一度完治したように思えても、再発や転移が見つかることが多く、それがより不安感をあおるのでしょう。こちらのニュースにも指摘されていますが、「食事でがんが治る」とあおっている食事療法は非常に多く存在します。「抗がん剤治療と共に行うことで相乗効果が期待できる」と書かれていればまだ良心的な方で、正当な根拠を出さずに「抗がん剤治療はいらない」とバッサリ切り捨てている無責任な書籍も少なくないようです。確かに抗がん剤治療の副作用などが恐ろしいと感じるのは、仕方がないことでしょう。しかし、ひと昔前とは違い、副作用の軽減や対策も日々進化しています。普遍的に導入されている治療は、それだけ実績のある信頼性の高い治療だということを忘れないようにしたいですね。

がんの食事療法はどこまで信用できる?

がんの治療の最前線は日々進化し続けています。かつてはずっと入院が必要だった治療も、今は通院しながらの抗がん剤投与で済み、推奨される食事の内容はあっても厳密な制限はありません。抗がん剤にも点滴や飲み薬など様々な種類があり、個々の症状に合わせて選ばれます。副作用を可能な限り軽減・予防するケアも対応できるようになっているのです。しかし依然として「抗がん剤は強い副作用を持つ」といった恐怖心は根強く、そこにつけこんだ「代替医療」ビジネスが跋扈しています。がんの食事療法も、調べればたくさん出てきます。中にはこれから効果が実証されていくものもあるかもしれません。しかし、たとえ医師が提唱している治療法だったとしても、その医師ががんの専門医とは限らないことは頭の隅においておくべきでしょう。ましてや医師免許すらもっていない自称専門家の提唱する食事療法は、効果に期待はできません。

がんの食事療法は化学療法と同時に

がんの食事療法のすべてがすべて、効果がないとは言い切れません。実証するだけのエピデンスがないというのが問題でなのです。この先検証が進めば、効果的治療法として広く取り入れられる日がくるかもしれません。ある程度権威的な学者や医師が提唱していても、それだけで信用できるとも言い切れないのが難しいところですね。実際、大量のビタミンCを投与する「メガビタミン療法」はノーベル賞を受賞している著名な学者ポーリングが提唱していましたが、実際には効果があるという確かな評価はないそうです。

大量の野菜・果物を取る、肉を控える、魚介類も一部を除き控える、塩蔵品は摂取しない、白米をやめて雑穀に……。この辺りは食事療法ではとく提唱されています。特に野菜は安全性の高いものを1.5リットル近くジュースにして摂取するという療法が取り上げられていますが、こういった負担や制限の多い食事療法を行うことで、かえってストレスになって病状を悪化させる可能性もあります。

いずれにしても「食事療法だけでがんが治る」というのは、現状では絵空事といっていいでしょう。健康的な食事を維持すること自体は、体力の低下を抑えてがんを快方に向かわせるかもしれません。本人の負担のない範囲で、従来の化学療法や放射線治療と組み合わせながら行うのがベストでしょう。

正しい意味でのがんの食事療法

先ほども述べました通り、がんに特効薬的な治療効果を求めることは無謀すぎますが、食事療法による体調管理としては効果が期待できるでしょう。がんは生活習慣病です。ビタミン・タンパク質・ミネラルのバランスが取れた良質な食生活は、がんの快癒・予防に一役買うことは間違いありません。がんに限らず、健康的な食生活をして悪いことなどありませんからね。

特定の食品やサプリメントも、あくまで医薬品ではなく『健康食品』であり、その効果については実証されているとは言えません。抗がん作用で有名になったアガリスクなどでは、通常量の5倍~10倍の量を与えたラット実験では、むしろ発がん作用が促進されてしまった結果が出たほどです。こちらは厚生労働省のホームページにお記載されている情報です。もちろん、ラット実験だけでは人体への有用性は証明できませんので、現時点ではアガリスクの抗がん作用については「科学的根拠は不明」のままです。抗がん作用が「期待できる」食品の多くがこれにあたります。

抗がん剤の副作用は、軽減の処置ができたとしても、全くなくなるわけではありません。個人差があり、やはり食欲不振や吐き気などをもよおす方はいます。そこで無理な食事をすると、ますます衰弱してがんの治療に影響がでてしまいますので、体調回復を最優先した食事をとることが重要です。食べ物の臭いに過剰に反応してしまうこともあり、そういった場合は味付けや食感などを変えることで食べられるようになることもあるそうです。がんにおける最大の食事療法は「食べられるものを、少しずつでもいいから食べて、がんと戦える体力を取り戻す」ことにあるのではないでしょうか?

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